オールド・オーバーホルトとは
Old Overholt Straight Rye Whiskey
- 種別:ウイスキー / アメリカン / ライウイスキー
- 度数:43%
- 価格:実勢3,000円前後
- 使用樽:内側をチャーした新樽
- 熟成:4年
1810年創業。禁酒法も乗り越えたアメリカ最古の蒸留所の一つです。
ペンシルバニア州ウェスト・オーバートン。
アブラハム・オーバーホルトという人物が、家族の蒸留業を引き継ぎ商業化しました。
アブラハムの肖像が、今もラベルに描かれています。
生まれはペンシルバニア州モノンガヒラ川流域。
アメリカのライウイスキー発祥の地として知られるこの地域で生まれた「モノンガヒラ・スタイル」は、ライ麦比率が高くコーンをほとんど使わないのが特徴です。
現在はケンタッキーで製造されていますが、そのスタイルを継承している数少ない銘柄です。
内側をチャーした新樽で4年熟成されています。
禁酒法時代のエピソード
1920年から始まった禁酒法で、アメリカ中の蒸留所が廃業に追い込まれました。
ペンシルバニア州に数十あったライウイスキーの蒸留所のほとんどが、この時代に消えています。
ところがオーバーホルトは生き残った。
薬用ウイスキーとして販売を続けるライセンスを取得したからです。
当時のオーバーホルトのオーナーは、アンドリュー・メロン。
なんとメロンは当時の財務長官でした。
禁酒法の取り締まりを管轄するはずの財務省のトップが、自分の蒸留所には薬用ライセンスを与えて販売を続けていた。
絵に描いたような職権乱用。
まさに「法を作った側が抜け穴を通る」の典型とも言える話ですが、どうやら事実だそうです。
当時は医師の処方箋があれば薬局でウイスキーが買えました。
10日ごとに1パイントの処方。
風邪からうつ病まで、あらゆる症状に処方されたと言われています。
あるニューヨークの医師は「禁酒法以降、20年間の診療よりも多くのウイスキーの処方箋を書いた」と認めています。
この露骨な特権と、処方箋という抜け道により、禁酒法時代も途切れることなく販売を続けたオールドオーバーホルト。
むしろこの頃の方が儲かっていたのかもしれません。
現在は「アメリカ最古の継続ブランド」を謳っています。
ちょうど同じ頃、パリでは「法をあざ笑う者」という名のカクテルが生まれていました。
そのカクテルのベースに、このオーバーホルトを使った記事を書いています。
良かったらこちらも見てください。
1925年、結局メロンは禁酒法支持派からの猛批判に耐えかねて持分を売却しました。
味わい
ストレートで飲むと、辛口でスッキリとした印象です。
樽のバニラ香が程よくあって、後味のキレが良い。
バーボンより軽くて、嫌な感じがどこにもない。
ウイスキーらしさをしっかり持って口に入ってくるのに、何の印象も残さず消えていく。
無心で飲み続けられる、そんなお酒です。
ロックにするとさらにスッキリしますが、加水されても甘さがあまり出てこないのでやや辛口になります。
気になるほどではないですが、飲みやすすぎてさっさと酔っ払いそうです。
ソーダ割りも非常に美味しい。
樽の味やライ麦由来のスパイシーさがしっかりあって、爽やかに楽しめます。
むかし家飲み用にしたことがあったのですが、飲みやすすぎて知らないうちになくなっていて、空けた記憶すら無いレベル。
逆にコスパが悪くてやめた経験があります。
ある意味、理想形のウイスキーだと思います。
立場を悪用して禁酒法下でも販売を続けた財務長官。
処方箋を抜け道にした医師や薬局。
どちらも大概な話ですが、そのおかげで今日もオールド・オーバーホルトをグラスに注げるのかもしれませんね。




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