- 種別:スピリッツ / クレラン / ハイチ
- 原材料:ハイチ産サトウキビ(ジュース・シロップ)
- 蒸留:ポットスチル(単式蒸留・1回)
- 酵母:野生酵母のみ
- アルコール度数:43度
- 価格:5,000円前後(700ml)
サトウキビを原料にしたお酒といえばラムですが、実は他にもいろんな種類があります。
カシャーサ、アグアルディエンテ、黒糖焼酎など。
クレランもそのうちの一つ、ハイチで200年以上つくり続けられてきたサトウキビの蒸留酒です。
ハイチの蒸留文化
ハイチにはとても多くの蒸留所が存在し、個人経営や村ごとの小規模蒸留所が500ヶ所以上存在します。
他のカリブ海の国々が近代化して大きな蒸留所に集約していった中、ハイチだけはローカルな蒸留所がそのまま残り続け、他の国よりも圧倒的に多くの蒸留所が残っています。
ハイチのお酒といえばラムのバルバンクールが有名ですが、ハイチでラムをつくっているのはバルバンクールといくつかの新興の蒸留所のみで、残りの蒸留所は全てクレランをつくっています。
19世紀初頭のハイチ革命後、他国のような近代化の波が入ってこなかったことが、この独自の蒸留文化が守られてきた背景にあると言われています。
まだ知られていないお酒がたくさんある、スピリッツの未開拓地です。
クレランとは
その小規模蒸留所でつくられているのが「クレラン(Clairin)」です。
ハイチ・クレオール語で「透明な」を意味する名前で、熟成なしのクリアなスピリッツです。
製法がとにかく原始的です。
工業用酵母は使わず、サトウキビの茎や空気中に漂う野生の酵母だけで120時間以上かけて発酵させる。
独特の複雑な香りはこの長い発酵時間が生み出しているとも言われています。
蒸留は単式蒸留器で、手作りの原始的な蒸留機を使っているところが多く、中には革製のプレートや古いガソリン缶を冷却器に再利用したような、かなり独創的な蒸留器を使い続けている蒸留所がいまだにあります。
蒸留は1回だけ。
他にも厳格な決まりがあって、サトウキビはハイチ産の在来種のみ、収穫は手作業、蒸留所まで運ぶのは馬やロバに限るというもの。
トラックは使えません。瓶詰めもハイチ国内のみ。
なかなかの徹底ぶりです。
ちなみにバルバンクールの製法では、1回目の蒸留で得られたものを「クレラン」と呼び、それをさらに蒸留・熟成させたものが「ラム」になります。
クレランはいわばラムの原型、原始的な祖先とも言える存在です。
クレラン・コミュナルとは
クレラン・コミュナルは、ハイチの4つの村の生産者のクレランをブレンドした一本です。
村ごとに野生酵母も土地の個性も異なるため、単一の村のクレランに比べて複雑さがありながら、43度という度数に調整されていて、比較的とっつきやすい一本です。
ガソリン缶を使った例の蒸留機の原酒も使われているそうです。
味わい
正直に書きます。美味しいとは思いますが、おすすめしません(笑)
ペールラバブランやコルコルなどのキツめのアグリコールラムが好きな方は面白いかもしれませんが、結構強烈です。
若いアグリコールラム特有の石油みたいな香りが鼻にツンと来ます。
飲んでみると上記のラムほどキツい味ではなく、甘みもありますが、後味にはフレンチクレオールラムでよく言われる海苔の佃煮のような味がほんのりあります。
飲み慣れていない方はもっと優しいラムから慣らしていかないとしんどいかなと思います。
ただ、ファンキーアグリコール狂の変態には刺さるジャンルだと思いますので、そういった方にはとてもおすすめです。
僕はラム全般飲みますが、正直飲み切れるか自信がないです。
なかなかボトルに手が伸びず、しばらく棚に眠っている気がプンプンします。
おすすめの飲み方
ちょっとだけライムを絞ってロックグラスで飲むか、ダイキリがいいと思います。
サトウキビの草っぽさ全開の、普通のダイキリとはまるで違うダイキリが出来上がります。
クレランがライムの味を引き上げまくるので、シュガーシロップは2tspくらいが調度よかったです。
ちなみにハイチではクレマス(Krémas)というカクテルがホリデーシーズンの定番として知られています。
クレランにココナッツミルク、練乳、シナモン、ナツメグを合わせた甘くてクリーミーなもので、現地では祭事の席に欠かせない飲み物だそうです。
まだまだ知らないハイチのスピリッツがある
クレラン・コミュナルは、ハイチのスピリッツ文化の入り口と言われています。
コミュナルをブレンドしている4つの村それぞれの単一蒸留所ボトルも販売されていて、村ごとに野生酵母も土地の個性も違うので、飲み比べると面白いらしいです。
近年は「Vieux(ヴュー)」と呼ばれる熟成タイプも出てきていて、愛好家の間で高い評価を得ています。
ハイチには500以上の蒸留所がある。でもそのほとんどは、まだ地図にも載っていない。
スピリッツの世界にまだこんな未開拓地が残っていたのかと思うと、ワクワクしますね。
でもこれより強烈なものを買ってみる勇気が湧きそうにありません。
どこかでショットで頼めるような場所があったらぜひ試してみたいです。ハーフで。



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