バルバドスの魂とも言われるリキュール「ファレナム」と、このリキュールから生まれた2つの歴史あるカクテルを紹介します。
ヴェルヴェット・ファレナム
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種別
リキュール / バルバドス -
度数
11% -
価格
3,000円前後
ファレナムとは
バルバドス生まれのリキュールで、ライム・クローブ・アーモンド・砂糖・ラムにショウガやシナモンなどのスパイスを加えてつくる、甘くスパイシーなお酒です。
元を辿れば、1700年代にバルバドスで飲まれていたラム・ライム・砂糖のシンプルなパンチのことをファレナムと呼んでいて、これが起源とされています。
各家庭や農園でスパイスが加えられながら進化し、その家庭の味を元にしてリキュールとして製品化して瓶詰めされるようになりました。
バルバドスの魂、ティキカクテル界のMSG(ティキはラムベースのトロピカルカクテル、MSGは味の素やうま味調味料のこと)と言われ、トロピカルカクテルの必需品とも言われています。
日本のバーシーンではあまりメジャーではなく、今まで扱ったことがなかったのですが、こう聞くとよほど美味しいのだろうと思い、好奇心でボトルを買ってみました。
ファレナムの味わい
初めて飲んだとき、正直なところ「ん?」と首を傾げてしまいました。
鼻を近づけるとサトウキビの青っぽい香りを感じます。
しかし飲んでみるととにかく風味が弱い。
甘さだけ感じてスパイスなどの風味は言われれば、くらい。
もっとコーラみたいな味がすると勝手に想像してたのに思ってたのと違う。
これじゃシンプルシロップと変わらないじゃねーか!と思うくらい主張しない味でした。
3,000円も払ったのにこれか、と思い一度は後悔したんですが、ものは試しでカクテルに使ってみることに。
すると不思議と美味しい。
ファレナム自体の風味は弱いのですが、ラムと合わさるとラムの良さを引き立てながら、風味を複雑にし、独特のトロみを加えてくれる。
単体では地味でも、カクテルの中でこそ活きる素材なんだと気づきました。
なるほど「これがトロピカルカクテルのうま味調味料と呼ばれる所以か」と、最初のネガティブな感想を素直に反省させられました。
コーン・アンド・オイル

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ダークラム
(プラントレイ オリジナルダーク)
45ml -
ヴェルヴェット・ファレナム
15ml -
アンゴスチュラ・ビターズ
1dash -
手法
ビルド -
グラス
ロックグラス
ガーニッシュ:ライムピール
バルバドスのプランターたちは、コーン・アンド・オイルを飲むことを「死なずに天国へ行くようなものだ」と言い伝えていたそうです。
1911年には文献にも登場していて、その頃には既に「伝統的なカクテル」と呼ばれていました。
100年以上飲み継がれてきた、バルバドスの国民的ドリンクです。
元々はブランデーベースだったそうですが、第一次世界大戦の影響でベースがラムに変わったと言われています。
バルバドスは「ラム酒発祥の地」とも呼ばれる島で、島内には1,500以上の「ラム・ショップ」と呼ばれる小さな酒場があります。
単なる飲み屋ではなく、地域の人たちが集まって噂話をしたり親睦を深めるライミング(Liming)を行う場所です。
バルバドスにはこのライミングと呼ばれる独特の社交文化があり、ラム・ショップはその拠点となっています。
そこで飲まれる定番がこのコーン・アンド・オイルで、カッターと呼ばれる塩パンサンドイッチをつまみに話に花を咲かせているそうです。
ラム・ショップだけでなく家庭でも日常的に飲まれていて、自家製ファレナムをつくる長い伝統があるとされています。
コーン・アンド・オイルって不思議な名前をしています。
トウモロコシと油、どちらも飲み物と結びつかなそうな組み合わせで、正直飲みたいなと思わないですよね。
一番古い記録は1911年で、当時は「コーニング・オイル(Corning Oil)」という名前で紹介されていました。
コーニングの意味は不明ですが、これが変化してコーン・アンド・オイルになったと言われています。
旧約聖書の「穀物(Corn)と油(Oil)を収穫できるように」という神の祝福の言葉から来ているという説や、ファレナムの上に濃厚なダークラムをフロートさせた際、ラムがまるで「水面に浮く油」のように見えたから、というビジュアル由来の説など、諸説ありますが定かではありません。
コーン・アンド・オイルの味わい
甘みとラムの風味が共存しててとても良い。
プランテーションのバナナやタバコみたいな風味とファレナムのトロみが合わさって、黒蜜や黒糖みたいなこってり感。
イギリス系ラム版でつくるオールドファッションドの完成形のようです。
気軽に作れてチビチビ飲める感じが一日の終わりのリラックスタイムに最適です。
自宅で深酒している夜、「もう絶対にやめておいた方がいい」と頭では分かっているのに、この甘いダラダラ飲める感じと作り方の手軽さから、ついつい余計な一杯をつくってしまい翌日後悔するタイプの酒です。
重い頭を抱えて枕に「ごめんなさい」をしている自分の姿が容易に想像できます。
バルバドス・カクテル

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バルバドスラム
(マウントゲイ エクリプス)
40ml -
ヴェルヴェット・ファレナム
15ml -
ライムジュース
15ml -
手法
シェーク -
グラス
カクテルグラス
ファレナムの原型とされる1700年代のラム・ライム・砂糖のパンチを現代に再現しようとして生まれた、比較的新しいカクテルです。
つまり、ファレナムの祖先である素朴な飲み物を、子孫にあたるファレナムを使って再現しようとしたという先祖返りみたいなカクテルです。
ラム・ファレナム・ライムの3つを合わせてシェークするショートスタイルで、ダイキリをよりスパイシーにしたような一杯です。
バルバドス・カクテルの味わい
素直に美味しい。
バランスが良くて、ダイキリとよく似ているけれど、イギリス系ラムが程よく使われていてより複雑な味わいになっています。
ファレナムのラムと同じ青っぽさが補強に回り、ベースの味を引き立てながら甘さを足してくれる。
ダイキリのキレを残しながら少し厚みを足して完成度を高めた感じで、個人的にはかなり好きな一杯です。
バルバドスの魂のリキュール「ファレナム」と、そのファレナムから生まれた二つのカクテルを紹介しました。
300年の時を経て、原点を再現しようとしたら、より洗練されたカクテルが生まれてしまった。なんて面白いですね。
もしかしたらバルバドスの人たちは300年も昔に既に理想の味に辿り着いていたのかもしれません。
次回:天才を目覚めさせた迷子のカクテル
ファレナムを使うカクテルにもう一つ、「ロイヤル・バミューダ・ヨットクラブ」があります。
バミューダ諸島の由緒あるヨットクラブの名を冠しながら、当のクラブのメニューには存在しない迷子のカクテル。
そしてこの一杯こそが、後に伝説のカクテル「マイタイ」を生み出す天才バーテンダーを目覚めさせた一杯でもあります。
次回詳しく紹介します。




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