- タリスカー10年 45ml
- ペドロ・ヒメネス(PX)シェリー 15ml
- アブサン(グラスリンス) 少量
- 手法 ステア
- グラス カクテルグラス
グラスにアブサン(またはパスティス)を入れて全体にリンスして余分なアブサンを捨て、タリスカーとシェリーをステアして注ぐ。レモンピールで香りづけしてグラスに飾る。
オリジナルのレシピ- タリスカー10年 40ml
- ペドロ・ヒメネス(PX)シェリー 20ml
- パスティス(グラスリンス) 2.5ml
- 手法 ステア
- グラス カクテルグラス
「ラプスカリオン」という名前の由来
ラプスカリオン(Rapscallion)とは英語で「ならず者」を意味する言葉です。
そのちょっと不良めいた名前の通り、個性的な材料を組み合わせた、ウイスキーベースのモダンクラシックカクテルです。
この名前はエジンバラにかつて存在した会員制バー「The Hallion」に由来しています。
「Hallion」はスコットランドの方言で「いたずらっ子」や「ならず者」を意味する言葉。
ラプスカリオンという名前はそこへのオマージュとして付けられました。
エジンバラで生まれる
考案したのは、アデライン・シェパードとクレイグ・ハーパーという二人のバーテンダーです。
二人はエジンバラのバー「Oloroso」で同僚として働き、シェリーの魅力に没頭していました。
ある時クレイグが、マンハッタンのアレンジでジョニーウォーカー・ブラックとPXシェリーを合わせたのが、このカクテルの原型になったと言われています。
2003年、二人はエジンバラに「The Hallion」という会員制バーをオープンします。
ここでレシピが磨かれ、パスティスをリンスするスタイルが確立。
カクテルに「ラプスカリオン」という名前がついたのもこの頃です。
コペンハーゲンで完成する
その後アデラインがデンマークのコペンハーゲンへ渡り、2007年に夫とともに「Ruby」というバーを開きます。
ここでレシピを見直した際、より力強い味を求めてベースをタリスカー10年に変更。
「デンマーク人はもっとアドベンチャラスな味が好きだから」と語っていたと言われています。
潮の香りと力強いスモークが加わり、「ならず者」の名前に相応しい荒々しさが生まれました。
ニューヨークで世界に広まる
2010年、「The Traveling Mixologists」というベルリンを拠点とするバーテンダー集団が、ニューヨークの名門バー「PDT」でゲストシフトを行いました。
その際に彼らがヨーロッパから持ち込んだレシピのひとつが、このラプスカリオンでした。
PDTを立ち上げたジム・ミーハンはこのカクテルをいたく気に入り、2011年に出版した「PDT Cocktail Book」に掲載します。
これによりラプスカリオンはヨーロッパのローカルなカクテルから、世界中で知られるモダンクラシックへと変わりました。
3パターン飲み比べ
PDT Cocktail Bookではパスティスの代わりにアブサンが使われていますが、考案者のアデライン氏はパスティスにこだわっています。
アブサンはパスティスより香りが強くアルコール度数も高いため、少量でもしっかりとした存在感があります。
どちらが良いか、今回は3パターン試してみました。
- タリスカー10年 40ml
- ペドロ・ヒメネス(PX)シェリー 20ml
- パスティス(グラスリンス) 少量
シェリーの甘みとトロみが前に出ますが、タリスカーの苦みとピート香がしっかり引き締めてくれるので甘ったるくはありません。
苦みのあるプルーンやグリオッティンのようで、甘さの奥にスモークとアニスが溶け込み、紅茶やタバコを思わせる余韻が長く続きます。
- タリスカー10年 45ml
- ペドロ・ヒメネス(PX)シェリー 15ml
- パスティス(グラスリンス) 少量
タリスカーのキレがPXのボリューム感を整えてよりドライで飲みやすい仕上がりです。
レモンピールとの相性も良く、爽やかな飲み始めから後半にはウイスキーのナッティな風味が広がります。
いわゆる「シェリー爆弾」と呼ばれるシェリー樽熟成のウイスキーと、ウイスキーベースのカクテルの中間のような味わいです。
ただしパスティスの存在感がほぼなくなってしまいました。
- タリスカー10年 45ml
- ペドロ・ヒメネス(PX)シェリー 15ml
- アブサン(グラスリンス) 少量
圧倒的にバランスが良いと感じました。
①と②で感じたプルーンの甘み・ウイスキーの苦みとキレ・ピートとナッツの風味・アニスの香りが全て渾然一体となって、ラプスカリオンという一つの液体として完成されています。
②でパスティスの存在感が薄れてしまった経験から、③でより主張の強いアブサンに変更になったのにもうなずけます。
オリジナルを大切にするなら①ですが、私が責任を持ってお客様に提供するなら、ずば抜けて完成度が高い③だと思いました。
日本ではまだほとんど知られていないですが、ヨーロッパを中心にモダンクラシックのひとつとして確固たる地位を築いているカクテルです。
ぜひ飲んでみて下さい。
荒々しくも甘い、ならず者の一杯です。



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